■カンボジア・木の学校建設プロジェクト updated:2006・03・20
2005年の5月と10月に2回、始めてカンボジアに行ってきました。思ったよりも安全な感じがしたのと、力強さと同時に温和さを兼ね備えた子供たちの黒い大きな目が印象的でした。現在、カンボジア出身でフランス在住の
Kenory You さんが中心になって活動しているフランスのNPO組織 「ESK」 が、カンボジアに家具の学校と工房をつくろうと計画中です。2回目の10月は、プノンペンの彼女の実家に滞在し、一緒に学校建設のための候補地を、プノンペン郊外やアンコールワットのあるシェムリアップ近郊に訪ねたり、またいろんな話し合いをしてきました。とても信頼できる素敵な人でした。そのときの様子をいくつかアップします。
2006年中に、少しずつ動き始める予定です。
何かできることがあれば協力したいと思っています。
以下に、計画している学校のコンセプトとしての彼女の文章を掲載します。
1975年から続いたクメール・ルージュ(ポル・ポト派)政権、クメール・ルージュとベトナム、ヘン・サムリン政権の軍事衝突から、カンボジアはやっとの事で国が再建されようとしています。今日、平和と安全は保証されていますが、貧困はいまだに残ったままです。実に人口の35%から40%は貧困域の中に暮らしているのです。
―未来―
貧困を減少させるということは、実に困難な事ですが、克服しなければならない問題です。それは、持続し、安定した経済成長の上に可能となるものです。木の学校創設の計画は、この問題解決に貢献するのです。今日、木材はカンボジアにおいて重要な自然資源ですが、その一方では度重なる違法な伐採などによる自然破壊が問題となっています。その大部分は、自然の、木の幹の形をしたまま外国へ送られてしまうのです。地方の市場などに、扉、階段、そして建物などの工業製品の形をして出ているものは、粗野に荒削りされているか、もしくはもっとよい製品を製造するために、近隣諸国で手作業で加工されたものが出回っているのです。たしかに自然資源という存在がある一方で、消費者の必要とするものがあります。しかし、良質な技術は欠如しています。未来のための解決は、新しいカンボジアを再構築していくことにあります。そのためには、
○木工業の技術に賛同してもらうこと。
○木材資源がみだりに加工されることを抑制するために、樹木のオーナーになってもらう事。
その目的は、「彼らが生まれ育った町にそのままとどまる事ができるような仕事を見つける事ができるように援助する」「森林開発を最小限にとどめ、森林を大切に守っていく事に関心を持たせる」という事にあります。
木の学校
木の学校を創設する事業は、まず15歳から20歳までのESK協会の子供センター出身の若者のために始まり、それはフランス本国の教育者、専門のボランティアによって成り立ちます。この技術は、フランスでは親方に相当するもので、何世紀もの間大切に護られ、伝承されてきた技術です。この事業は、カンボジア政府教育省・青年体育部門から多大なる援助を受けています。なかでも、ここで取得した免状は法律的に有効とされています。その免状とは、CAP(職業適性証書)とDMA(技術工芸職免許)の中間に位置付けられているものです。研修は、約15名の実習生全員が理論的な学習と実習とを交代におこないます。木の知識とその決まり事、木工細工、装飾家具などの画法幾何学の指導者になることに重点がおかれます。天然資源に関する理解とその開発に関心を持たせる事、産業の概念、デザインの学習、昔ながらの木工細工の技術の習得などが含まれます。そして、生徒のレベル分けをして特別にフランス語を学習させることも組み込まれています。この教育プログラムは、専門家による援助によって成り立ちます。その教育に携わる者の休暇のことも考慮して3ヶ月程度に区切った教育プログラムが望ましいのではないかと思っています。学校の開校は、2006年に予定しています。第一段階としては、まず1クラスから開始するのが望ましいと思われます。2008年には、学校の最初の修了生が既得の技術をさらに向上させるため、修了生による職人の協同組合のような者を創設する予定です。研修は持続する発展の途上で、カンボジア人の教育者を育成することも組み込まれます。
アンプリルの家具修理学校研修内容
この計画を運営しているメンバーの構成は、 Mme ケノリー・ヨウ(計画責任者) M.エルヴェ・クロー(教育プログラム責任者)現場での補完学習を実行するため、研修生達は2005年夏に現場に派遣されます。彼らは、カンボジア人のESKの渉外責任者であるナリー・ユンにより組織されます。予算を総計的にみて識別されるものとしては、学校建設に必要な費用(骨組みなど、もしもの場合に備えてより堅固にする必要があります。)アトリエの備品(機械や工具)この運営に関する学習、そして教育に携わる者のための宿泊費を含んだ費用、木材の購入、電気設備、水道、文書処理費、事務用品、コーディネーターへの報酬など。壁、骨組み、階段、戸枠、柵、家具、燃料そしてシャベルやほうきなどの道具の柄は木で出来ています。このように木はカンボジアの生活様式に偏在しているものなのです。
プノンペン郊外視察
プノンペン郊外候補地
イタリアNPOメンバーと情報交換
シェムリアップ近郊候補地
シェムリアップ近郊・孤児センター